令和5年秋期試験問題 午前Ⅱ 問20

要件定義プロセスにおいて,要件を評価する際には,矛盾している要件,検証できない要件などを識別することが求められている。次のうち,要件が検証可能である例はどれか。

  • 個々の要件に,対応必須,対応すべき,できれば対応,対応不要といったように重要性のランク付けがなされている。
  • システムのライフサイクルの全期間を通して,システムに正当な利害関係をもつ個々の利害関係者が識別できている。
  • システムやソフトウェアが,要件定義書の記述内容を満たすか否かをチェックするための方法があり,チェック作業が妥当な費用内で行える。
  • 実現可能か否かにはこだわらず,全ての利害関係者のニーズ及び期待が漏れなく要件定義書に盛り込まれている。
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分野:ストラテジ系
中分類:システム企画
小分類:要件定義
解説
要件定義プロセスでは、利害関係者の識別、要求事項の識別に続いて、識別された要求事項の評価を行います。JIS X 0170(システムライフサイクルプロセス)によれば、要求事項の評価とは、導出された要求事項の全ての集合を分析し、優先順位付けすることであり、分析される特性には次の全てが含まれるとされています。
  • 要求事項が必要なものであること
  • 実装方法に依存しないものであること
  • 曖昧性がないこと
  • 矛盾なく一貫性があること
  • 抜け漏れなく完全にそろっていること
  • 単独性があり他の要求事項との重複がないこと
  • 実現可能であること
  • トレース可能であること
  • 検証可能であること
  • 費用面で可能であること
  • 定義範囲を示す境界が明確にされていること
  • 優先順位付けされていることの特性に該当します。
  • 利害関係者の識別性に関する例です。
  • 正しい。検証可能であることの特性に該当します。定義された要件は、完成したシステムの妥当性を評価する際に参照する情報となります。「大きい」や「速やかに」といった曖昧な表現では人によって尺度が異なり、客観的に検証することが難しくなるので、要件定義において定量化できるものは数値として表します。このように、要件が検証可能であるかどうかは分析対象の一つとなります。
  • 実現可能かどうかは分析するべき特性の一つであり、実現できないものは調整を行うか、要件に含めないようにします。

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