令和2年秋期試験問題 午前Ⅰ 問30
問30解説へ
プロバイダ責任制限法が定める特定電気通信役務提供者が行う送信防止措置に関する記述として,適切なものはどれか。
- 明らかに不当な権利侵害がなされている場合でも,情報の発信者から事前に承諾を得ていなければ,特定電気通信役務提供者は送信防止措置の結果として生じた損害の賠償責任を負う。
- 権利侵害を防ぐための送信防止措置の結果,情報の発信者に損害が生じた場合でも,一定の条件を満たしていれば,特定電気通信役務提供者は賠償責任を負わない。
- 情報発信者に対して表現の自由を保障し,通信の秘密を確保するため,特定電気通信役務提供者は,裁判所の決定を受けなければ送信防止措置を実施することができない
- 特定電気通信による情報の流通によって権利を侵害された者が,個人情報保護委員会に苦情を申し立て,被害が認定された際に特定電気通信役務提供者に命令される措置である。
正解 イ問題へ
分野 :ストラテジ系
中分類:法務
小分類:セキュリティ関連法規
中分類:法務
小分類:セキュリティ関連法規
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解説
- 情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があるときには、特定電気通信役務提供者(プロバイダ等)は、送信防止措置によって発信者に生じた損害について免責されます(法3条2項1号)。相当の理由の例として以下の例があります。
- 発信者への確認その他の必要な調査により、十分な確認を行った場合
- 通常は明らかにされることのない私人のプライバシー情報(住所、電話番号等)について当事者本人から連絡があった場合で、当該者の本人性が確認できている場合
- 正しい。特定電気通信役務提供者は、送信防止措置によって発信者に生じた損害について、当該措置が送信を防止するために必要な限度で行われたものであり、かつ、以下2つのいずれかに該当する場合に免責されます(法3条2項)。
- 情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があるとき
- 権利を侵害された者から送信防止措置の申立てを受け、発信者に同意するかどうかを照会した場合に、照会した日から7日が経過しても発信者から同意しない申出がなかったとき
- 特定電気通信役務提供者は、他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があるときは自主的に、そうでないときには発信者へ照会した上で送信防止措置を講じることができます。もちろん、プライバシー権や著作権等の侵害および名誉棄損を理由に、裁判所に対して送信防止措置を命じる仮処分・判決を求めることも可能です。
- 特定電気通信による情報の流通によって権利を侵害された者は、著作権の侵害であれば著作権関係信頼性確認団体、商標権の侵害であれば商標権関係信頼性確認団体を経由して送信防止措置を申し立てることができます。個人情報保護委員会ではありません。信頼性確認団体では本人性の確認、権利者であることの確認、ガイドラインへの準拠等の確認が行われるので、信頼性確認団体から申出を受理したプロバイダ等は迅速かつ適正に送信防止措置をできるようになります。
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